PGRAsiaは、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)とアジア諸国のジーンバンクとの共同研究で行う、植物遺伝資源の利用促進のための国際共同研究プロジェクトです。
農研機構は、2014~2017年度に農林水産省のプロジェクト研究「海外植物遺伝資源の収集・提供強化」、2018年度~2020年度に「海外植物遺伝資源の民間等への提供促進」、2021年度からは「植物遺伝資源の収集・保存・提供の促進」を受託し、我が国と共同研究相手国の双方において重要性が高い野菜や穀類を対象として、植物遺伝資源の共同調査を実施すると共に、相手国ジーンバンクに所蔵された植物遺伝資源の遺伝的特性を解明して、育種素材として活用できるようにすることを目指します。また相手国の研究者を我が国に招へいし、特性評価手法等を技術移転することにより、相手国における育種事業を支援し、植物遺伝資源の相互利用に向けた両国間の協力関係を深化させます。
2021年度から2025年度までの5年間
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構を代表機関として共同研究を実施します。
国立研究開発法人 | 農業・食品産業技術総合研究機構(遺伝資源研究センター、野菜花き研究部門、北海道農業研究センター) |
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大学法人(9大学) | 弘前大学、山形大学、筑波大学、信州大学、岡山大学、東京農業大学、龍谷大学、南九州大学、京都大学 |
地方公設試(8機関) | 新潟県農業総合研究所、茨城県農業総合センター、愛知県農業総合試験場、岡山県農林水産総合センター、高知県農業技術センター、宮崎県総合農業試験場、鹿児島県農業開発総合センター、奈良県農業開発研究センター |
海外政府研究機関(4か国 5機関) | ベトナム農業科学アカデミー植物資源センター及び作物研究所、ラオス国立農林業研究所、カンボジア農業研究開発研究所、キルギス農業食品産業土地改良省・農業作物専門局 |
近年の地球温暖化問題等に対応し、国内農業の競争力強化に資する画期的な新品種を開発していくためには、その育種素材として多様な遺伝的な特性を有する植物遺伝資源の確保が重要です。一方、途上国を中心に自国の遺伝資源に対する権利意識が高まり、海外から新たな遺伝資源を導入することが難しくなってきています。そのため、我が国が海外遺伝資源にアクセスするための取り組みの強化が求められています。
しかしながら、我が国の植物新品種の開発において重要な植物遺伝資源を多数保有するアジア地域の途上国においては、ジーンバンクの体制が不十分であり、所蔵する植物遺伝資源を育種利用する際に必要な遺伝的な特性情報が付与されていません。そのため、自国の育種利用に十分活用できず、また我が国をはじめ海外からもアクセスできない状況の国があります。
さらに、農業開発の進展による栽培品種の画一化等により、現地の農民が永年守り育ててきた在来種等が喪失してしまう危険性も高まっています。
アジア諸国との協力関係が強化されることで、新たな海外植物遺伝資源及びその情報にアクセスする環境が整備され、「攻めの農林水産業政策」の一環としての国内農業の競争力強化に対応できる画期的品種育成が加速します。